和歌山県紀の川市発注の水道工事で便宜を図った見返りに現金を受け取ったとして、県警捜査二課と岩出署は24日、岩出市堀口の元紀の川市水道工務課課長補佐、上筋英司被告(55)=窃盗罪で起訴=を収賄容疑で、紀の川市貴志川町丸栖の水道工事会社、㈲ミナミデ工業所社長の南出静男(75)と妻で同社員の南出チエ子(74)の両容疑者を贈賄容疑で逮捕した。
県警捜査二課によると、上筋容疑者は昨年10月31日ごろ、市からの水道管修繕工事を同社に優先的に受注させた見返りとして、ミナミデ工業所内で静男容疑者から現金15万円を受け取った疑い。
市は漏水調査や修繕などの水道工事を発注する際、委託契約する業者に1週間ごとの当番制で順番に割り振っているが、上筋容疑者はこの原則に従わず、昨年9月中旬から10月中旬まで複数回の工事でミナミデ工業所に受注させていたとみられる。
上筋容疑者は昨年10月に市水道部の倉庫から部品などを盗んだ容疑でことし1月に逮捕、その後起訴されており、今月23日に懲戒免職の処分を受けた。この窃盗事件の捜査の際、贈収賄が疑われる資料が見つかったことから、さらに捜査を進めていた。
上筋容疑者ら3人はいずれも容疑を認めているという。
上筋容疑者の逮捕を受け、県警は24日午後4時ごろから紀の川市役所を家宅捜索し、水道工務課を中心に関連資料を押収した。
市によると、市は同日、水道、人事などの関係部署の職員を緊急招集し、家宅捜索への対応に当たった。上筋容疑者の逮捕を受けて中村愼司市長は「誠に遺憾であり、市民の皆さまに心からお詫び申し上げる。徹底した原因究明を行い、事務を再点検し、市政に対する信頼回復に全力を挙げる」とのコメントを発表。26日午前には緊急の部長会議を市役所で開き、林信良副市長が各部長に「綱紀粛正に努め、信頼回復を図ってほしい」と呼び掛けた。