台風21号が4日に和歌山県内を襲って1週間がたつ。紀美野町にもたらした爪痕は深く、10日午後3時20分現在、町内世帯数の5割を超える約2170軒で停電が続いている。町役場には連日早朝から一刻も早い復旧を求める町民からの問い合わせが相次いでおり、職員らは対応に追われている。
関西電力によると、同時刻現在の県内の停電は約7230軒。紀美野町が最も多く、その他の本紙エリア市町は、和歌山市約60軒、海南市約130軒、紀の川市約480軒、岩出市約70軒。同町内の内訳は国木原約10軒、毛原宮約810軒、福田約790軒、三尾川約570軒となっている。
町建設課に寄せられた被害箇所の情報は10日午前までに117件。うち道路や谷川、河川を中心に86件の復旧作業はほぼ終了したが、31件が未復旧。復旧が進んでいないのは主に倒木が電柱や電線などの設備に打撃を与えている箇所で、電気業者の立ち合いがなければ作業に取り掛かれず、手がつけられない状況が続いているという。
釜滝地区では、枝が電柱を挟み込み、電線をからませながら車道に倒れた木がみられた。近くに住む60代後半の夫妻は、停電が続き冷蔵庫が使えないため、食材をその都度購入してカセットコンロで煮炊きして食事をとる毎日。親戚宅で風呂を借り、バッテリー式の家電は充電させてもらうなどして暮らしており、疲労の色をにじませていた。