19日朝、和歌山県和歌山市の12階建てのビル屋上の工事足場から、重さ約5㌔の鉄パイプが落下し、道路を歩いていた銀行員の男性(26)が死亡した事故で、県警は20日、工事を請け負っていた市内の2業者を業務上過失致死容疑で家宅捜索し、工事請負契約書など約20点を押収。安全管理に問題がなかったか調べている。
捜索を受けたのは、元請けの「SIGN TAKASE」(和歌山市加納)と下請けの「ヒロケン」(同市西庄)。現場ビルに本社がある総合商社「酒直」(さかなお)の発注で、ビル屋上の看板補修と、工事で使った足場の解体作業を行っていた。
現場では15日にも、解体作業中に鉄パイプが落下。固定金具の緩みが原因と分かり、すぐに作業を中止。再点検を行い、2業者連名で再発防止策を酒直に提出した。内容は主に、防護ネットの設置、鉄パイプに落下防止用ロープを取り付けることなど。防護ネットは、工事当初は設置していたが、解体作業の工程に伴い外していた部分があったという。16日は、一日かけ点検や防護ネットの再設置などを行い、18日に作業を再開していた。
事故当日は午前8時から朝礼を行い、現場の責任者である「SIGN TAKASE」の髙瀬睦信代表(42)が、ロープの使用を徹底することなどを作業員に話したという。事故は朝礼から約30分後に起きた。
県警は20日、被害男性の死因は、頭部外傷による脳挫傷だったと発表した。
同日、取材に応じた髙瀬代表は「朝礼でしっかり伝わっていたのかと問われると分からない」とし、「自分の監督不行き届き。ご遺族に対し誠心誠意対応させていただきたい」と話した。